プリンターは、使わない日もお金がかかる|UV・ガーメント・DTFの消耗品あるある
機材を買うとき、見てほしいのは本体価格だけではありません。買った後に、いくらかかり続けるのか。ここまで考えておかないと、商品の原価も販売価格も、見込みがずれてしまいます。
UV、ガーメント、DTFといったプリンターについて、当店が実際に運用する中で強く感じること。それは、「消耗品が高い。そして、印刷した分だけ減るわけではない」ということです。
今回は、機材紹介のきれいな仕上がりだけでは見えにくい、維持費とメンテナンスの話です。
「そんなに印刷していないのに、もうインク交換?」
UVプリンターを使っていて、私が負担に感じるのが、クリーニングによるインクの消耗です。
商品へ印刷した量だけを見ていると、「まだそこまで使っていないはずなのに」と感じます。しかし、インクは商品を作るときだけに使われるわけではありません。
例えば、エプソンのSC-V1050の説明書には、印刷以外のメンテナンスでも、インクやワイパーユニットが消費されることが記載されています。
出典:エプソン SC-V1050 ユーザーズガイド(CMP0448-05、18ページ)
「商品に使ったインク代」と「プリンターを使える状態に保つための費用」は、分けて考える必要があります。
仕事の印刷がない週も、メンテナンスはある
当店では、仕事の印刷が少ないときも、週に数回はテスト印刷などで状態を確認しています。「注文が入った日だけ使えばよい」という感覚では、管理しきれない部分があります。
売る商品を作っていない時間にも、状態確認や手入れがある。この手間も、機材を持つうえでの負担です。
ただし、「週に数回」は当店の運用経験であり、全機種共通の指定ではありません。SC-V1050の説明書では、毎日の印刷業務開始前のノズルチェックと、使用しない期間に応じた保管・メンテナンスが別に案内されています。使用機種の説明書とメーカーの指示に従ってください。
出典:同ユーザーズガイド(19ページ)、同ガイド(62ページ)
インク以外も必要。SC-V1050の消耗品価格を見てみる
消耗品というとインクを想像しがちですが、それだけではありません。ご紹介するのは、エプソン公式サイトに掲載されているSC-V1050の価格例です。
| 消耗品 | 内容 | 標準価格・税別 |
|---|---|---|
| インクパック | 各140mL | 各6,600円 |
| ワイパーユニット | ヘッドクリーニング用布ワイパー | 3,000円 |
| エアフィルター | 2個入り | 19,000円 |
インクはシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック・ホワイト・バーニッシュの6種類。各1パックをそろえると、6,600円×6=39,600円(税別)です。
出典:エプソン公式「SC-V1050 消耗品・オプション」。2026年10月13日確認。実売価格や送料は購入先によって異なります。
もちろん、これは毎月すべてを交換するという意味ではありません。説明書では、インクは残量のエラー、ワイパーは交換メッセージ、エアフィルターは臭いが気になる場合など、それぞれ交換の判断が示されています。
出典:SC-V1050 ユーザーズガイド「消耗品の箇所と交換時期」(62ページ)
購入前には、インクの価格だけでなく、消耗品一覧を最後まで見る。これは本当に大切だと感じます。
ガーメントやDTFも、インク代だけでは計算できない
ほかの機種の公式情報も見ると、ガーメントプリンターのSC-F2250には、前処理剤、メンテナンスリキッド、ヘッドクリーニングセットなどが掲載されています。
補足資料:エプソン公式「SC-F2250 消耗品・オプション」
衣類用DTFでも、例えばローランド ディー.ジー.のBY2-20では、インクに加えて専用フィルムと専用パウダーが案内されています。
補足資料:ローランド ディー.ジー.公式「VersaStudio BY2-20」
必要なものは機種や加工方法で違います。商品を作る材料と、機械を維持する消耗品を分けて確認すると、原価計算から抜けている費用に気づきやすくなります。
あまり使っていない月にも、何かしら買い足している
当店でのSC-V1050の運用では、印刷量がそれほど多くない時期でも、月に一度ほど、インクやほかの消耗品を買い足す必要がありました。
「今月はあまり使っていないから、維持費もほとんどかからない」とは言い切れない。ここが、実際に使ってみて感じたところです。
これまでには、プリンターが複数回故障したこともあります。正直、「散々だったな」と感じる経験もしました。
故障への備えも、修理料金だけを見ればよいとは思っていません。問い合わせや状態確認にかかる時間、制作を進められない間の予定調整まで含めて考えたいところです。
ここでお伝えしているのは、当店の運用経験です。すべての利用者に同じ購入頻度や故障が起きる、という話ではありません。
見えない維持費も、商品の原価と販売価格につながる
材料代と、商品へ印刷した分のインク代だけで原価を出すと、メンテナンスで使ったインクや消耗品、確認作業の時間が抜けてしまいます。
販売価格を考えるときは、材料・印刷費に、維持費の配分、制作や確認の人件費、機材費の回収分、販売・発送関連費も含め、そのうえで利益をどう残すかを考えます。費用は重複して数えないように整理します。
例えば、説明用に「月の維持費を10,000円」と置いた場合。
その費用を同じ重みで配分するなら、月20個の販売では1個あたり500円、月100個なら100円になります。
※配分の考え方を示す仮の計算です。当店の実際の維持費や、SC-V1050の月額費用ではありません。
同じ機械を使っていても、販売量によって1個あたりに負担する費用は変わります。少量から始めるなら、理想の販売数だけではなく、注文が少ない月でも続けられるかを考えておきたいところです。
「安く印刷できる」ことと、「安く売っても利益が残る」ことは別です。
機材を買う前に、消耗品と運用の話を聞こう
導入前に、メーカーや販売店へ聞いておきたいのは、次の3点です。
- 消耗品の単価と交換条件:インク以外に何が必要で、どの状態になったら交換するのか。
- 印刷が少ないときの管理:必要な点検・保管方法と、手入れに使う時間や消耗品はどれくらいか。
- 故障したときの対応:相談窓口、保証・保守の範囲、修理中の制作をどう考えるか。
本体が買えるかだけでなく、その機材を維持しながら、自分の商品を無理なく販売できるか。機材選びでは、ここまで見てほしいと思います。
実機を見るときは、「作れるもの」の先まで
EIGHTでは、実機を見ながら加工方法や商品化、導入についてご相談いただけます。機材を導入せず、加工を依頼する方法も含めて、ご希望をお聞かせください。
関連案内:EIGHTの実機デモ・導入相談
機械の魅力だけでなく、使って分かった負担や注意点も伝えたい。それが、実際に制作している工房としてお話しできることだと思っています。
買う前に、「何が作れるか」と一緒に「いくらで使い続けられるか」も確認しましょう。